読書感想文代行業
私はこの夏、読書感想文を2つ、メルカリにて出品した。
メルカリで読書感想文が売られているとTwitterで話題になっており、私はライティングが速いので、まあそんなに手間もかかるまいと一つあたり30分程度で書き終えて、出品した。
出品したのは、Twitterではその行為に対する明らかな批難があった中で、批難の中に(罪の中に)便乗してみたいという好奇心からであった。
で、今もメルカリで断捨離物を出品してお小遣いをゲットしている私だけれども、私の出品物一覧を見たユーザーの方から、読書感想文を売って欲しいという「依頼」が届いた。
既に販売した同じ文章を送ることはできないと判断したため、(同じ小説の読書感想文であっても)新規書き下ろしという形で販売しますがどうですか、というやり取りの最中である。
正直に言って、読書感想文たった2本を書いて、2000円ほど儲かるというのは、なかなか美味しい話であった。
時給換算で2000円になるのだから、家庭教師にも匹敵するし、また時間・場所の制限のないところも良い。
今回の「依頼」が届いたことで、お小遣い稼ぎに代行業をやってみようかと、考えてみたりもして、色々と検索してみると、宿題の代行業者が多数存在し、そう言った会社に依頼した際の相場が原稿用紙一枚で2500円などであることなどが分かった。
代行業者、つまりゴーストライター業をうたっている会社は、プロのライターとして、読書感想文のみならず、論文やスピーチ原稿、レポート作成なども請け負っていて、そこはさすが組織と言うべきか、「相手のレベルに合わせた文章を書く」というプロなことをやっていらっしゃった。
確かに、中学生の読書感想文依頼に明らかに大人が書いたレベルのものを持っていってしまうと、先生も「おかしい」ということになるだろう。そこを自然にします、というのが謳い文句で、なるほど「プロの」ゴーストライターだと思った。
私にはそんな芸当はできない。
そういうわけで、もしまた読書感想文代行をやるとしたら、メルカリでちまちまと私は販売すると思う。
現時点のメルカリの規約では、この行為は規約違反ではないが、この夏に新聞にも取り上げられ、話題になったことから、規約の変更も考えうることで、その際に規約違反になるようであれば、もうできない。
で、まあグタグダと書いて見たけれど、読書感想文代行というのは、「こっち」にとっては、非常にオイシイアルバイトだったわけだが、率直に自分の倫理観としては「有り得ない」と思う。
「有り得ない」と思うことだからやって見たかった、ということなのだけれど。
宿題は自分でやるものである。当たり前のことですけれどもね。
でも、本を読むのが嫌いな生徒も、作文が苦手な生徒がいるのも分かる。
自分はスポーツが苦手だから、体育が苦痛だったし、そういう苦痛を強いられている気持ちなのだろうなあと想像する。
ただ、夏休みという長い期間だからこそ、自分にとっての困難にも立ち向かって欲しいと思うのだ。
別に下手な感想文でいい。選ぶ本も、自由課題ならライトノベルでも、絵本でも、いいんじゃないかと思う。
読書感想文というのは、文字通り「感想文」で、それを文字数800などにしていくとなれば「面白かった」と感じたなら、「なぜ」「どこが」面白かったのかという分析を書き手に強いる。
それは、若い(自分だって若いのに失礼)人間にとって、自分の「考える術」を身につけるという価値があると思うのだ。
だから、文章がぐちゃぐちゃになってしまっても、そういう思考過程を経験することに価値がある。
(そこで、読書感想文を買おうという発想になってしまうのは、そういう供給があるからというよりも、学校とゆーものが求めている暗黙の解答みたいなものが存在するせいだと思う。これは諸悪の根源)
読書感想文を売った時、その感想文は一人称は「私」にしていた。
買った人が男性なら、それを「僕」に変えて欲しいと思った。
さらには、自分の感想文をベースに自分らしく文章を変換するということをしていただけたら良いなあ、という気持ちもあった。
まあ、特にオチも何もない。
ただ、私は自分の倫理観にそぐわないことをやって見たくてメルカリで読書感想文を販売して、宿題代行業にはこういう思いを抱いています、というだけのお話である。