聞得大君と私
先だって池上永一の著書「テンペスト」を紹介したけれど、テンペストには「聞得大君」という存在が出てくる。
これは、沖縄のオナリ神信仰というものに基づくもので、琉球では女性が特に霊力が高いとされ、その加護が兄弟に及ぶという考え方をする。
琉球の王様の姉妹に当たる人間が聞得大君として琉球の「霊的政治」を担うのである。
そんな聞得大君と私にはご縁がある。
私の名前は「昌子」だが、もし琉球が滅びていなければ聞得大君になったはずの、尚家のお姫様に名前を一文字いただいて、つけていただいたのだ。
テンペストを読んで、その人はそういう立場の人だったのだなあと不思議な気持ちになった。
昌子の昌は「太陽のように明るい」という意味である。
メンヘラであり死にたいと呟く私には太陽のような明るさはないけれど、元気な時は割と明るい方である。補足。
現代風の洒落た名前ではなく、しかも私どもの世代のポケモン「緑」シリーズでは「ルージュラを友達と交換すると名前が昌子になる」というのがあっていじられたこともあったりして、正直自分の名前があまり好きではなかった。
DQNネームまでは行かなくとも、可愛らしい名前にしてほしかったなあと思っていたのである。
でも、聞得大君のエピソードや、名付けていただいたことを考えると、大事にしたいと思うようになった。
今はキラキラネームならぬシワシワネームとか言って、逆に「子」をつけるのがちょっとキていたりして、まあおばあちゃんになった時マリアとかだとちょっと恥ずかしいのかな、なんてことも思うと、いい名前だと思う。