くうきあなのはなし

愛は孤独を救わない

ペニー・レインと出会う

あの頃ペニー・レインと

冷蔵庫の前で、解凍した白飯を食べながらふとこの映画のことが頭に過ぎったので。

 

映画において、ペニーは彼方の存在であり主人公は現実世界へ回帰して行く。

 

人間が思春期に一皮むけるためには、ペニー・レインのような存在や経験が必要なのかもしれない、と思う。

 

真っ当な道を純真無垢に歩み、素直で実直であることは誠に素晴らしく、稀有であると思う。

親の言うことをよく聞き、周りの忠告に耳を貸し、生きていけば、成功への最短ルートは担保されている。

そうして生きている人達を何人か知っているし、彼らは自分にとっては眩しい。

 

けれど眩し過ぎるのだ。

 

ペニー・レインと出会い、ペニーと同じになってはいけない。

ペニーの世界を垣間見て、「こちら側」へ帰らねばならぬのだが、大半の人間は思春期に親の言うことには反発し自分から世界をみようと欲してペニーと出会う。

だから、大人になれる。

 

その点で、私は「ペニーに出会わない彼ら」のことを、稀有であると思いながら、非常に不気味に感じるのだ。